2021年9月23日木曜日

新作についての解説

新たなシリーズものが形になりましたので記録していきます。

公募展に応募した作品です。規約に公募展で発表していない作品と描いてありましたのでウェブ公開は問題ないと判断します。

前書き

日本画を越境させる….


長い歴史の中で先人たちが時代に合わせ視覚や概念を作り上げて来た事に敬意を込めて。

日本画の祖となる高松塚古墳壁画、法隆寺金堂壁画や雪舟により出発し、明治に西洋画と融和し「日本画」を創出、敗戦後は自己を否定し現代美術に感化され過去と決別する程の変化をなしえてきた。しかし、混迷を極める現代こそ自国の歴史・文化を俯瞰し戦後薄まったアイデンティティーの再構築を日本人自らが行う時が来たのではないだろうか。

それは、世界に認知される事なくガラパゴス化した『日本画』の進化を模索するならば、益々隆盛を極めるラノベなどのデジ絵や漫画・アニメの様式美と系譜を学び融合し、更に現代美術の流儀となった日本発の概念「スーパーフラット」、「J回帰」、「未成年」と2000年以降のアートの文脈を踏まえて展開する作業が不可避ではないでしょうか。


もう一つ、コロナ禍のマスク生活で私自身対話の際、他者の目に注目し感情を読み解くようになった。この体験とアニメ表現に於ける「目」をクローズアップし感情や状況を表す手法が繋がっていくまでに時間はかからなかった。これらが作画の基礎となっている。


以上


Break down the old patterns.


邦題:しじまを破る
英題:Break A Stillness 
中文:打被寂靜



162×162。紙本彩色。

作品は、想定(理論)※を立て継続して制作を行わねばならず、今回の取り組みは新たなたたき台としたい。

※物作りを継続する為の理念を明確に持ちたいですね。理念があるからこそ継続できると考えます。

〈以下要点〉

お題目に「明日の日本画を求めて」とある。故に既存の枠組を改変していく為に行動する。

「スパーフラット」に端を発しつつ(解釈方法の源流、起点とします)、私自身による日本美術に対しての解釈を創作していく。

90年代〜00年代〜現在まで。日本美術に於ける30年間の変化を踏まえた絵柄を考える。(特に10代の人々が共感を得る様式を創作する事で、世代間による美術表現のギャップを溶解させる事を試みる。

〈技法〉岩絵具を用いる。ベタ塗り、ハッチング(カケアミ)、鉄線秒、ドット、片ぼかし(隈取)、少ない色数、削り出し(絵具を洗う)を用いて制作を行う。

ドット表現は、漫画におけるトーン表現は勿論、デジ絵にもアクセントとして多用される。また、コンテンポラリーアートに於いてリキテンシュタインがドット技法の代表格と言える。
この技法を取り入れる事で、表現により平面性を確保し漫画表現に近づけ差異を縮めていく。


ハッチング。古今東西の美術表現は勿論、漫画表現でも多用される技法である。今作では髪と睫毛の接点を明瞭化する為に用いている。また、若干であるが瞳と睫毛の境界線にも使用している。
(西洋美術に於いても、古くからデッサン、版画、フレスコなどハッチングを描写の基本としている)


片ぼかし(隈取)。平安期の仏画以降、はたまたそれ以前の法隆寺金堂壁画群に於ける肉身表現に用いられている。これにより平面性の強い表現の中にも一定の肉厚を表現する事が可能になる。

髪の毛のハイライト。漫画、アニメ表現に於ける重要な文法となっている表現。明暗を表現するだけで無く、艶のある質感をも表現可能である。

削り出し(洗い流し)。独自の技法と言える。水簸絵具による下地を施した上から岩絵具を塗布。これを水分を含ませた絵刷毛で撫で付け、洗い流していく。適度に下地を見せる事で経年による表面の変化を模している。これにより画面に多少の深みが出ることを期待して行なっている。無論古い仏画の表面の状態に由来する。

鉄線描。これは仏画特に来迎図など阿弥陀仏の表現に用いられてきた。今回の作品ではほぼ使用されていないが、歪みのない輪郭処理には鉄線描と類似の丁寧な縁取りが必要となる。

時流を取り込む。マスクと目、髪の組み合わせがアイコン化した現代社会。これらをレイアウトする事で、現代に於ける人物表現の拡張にならないか。
古来芸術は時代を投影する鏡であった。常々風刺を伴い、一定の知識量、特定の概念に基づいての解釈を要する。


また、アニメ表現特有の瞳のアップ表現と掛け合わせる事で印象を強める。

紅瞳。中心部にアクセントとして加える事による効果を狙った。日章旗のようでもあるし、レノボThinkPadのようでもある。
頬とハイライト部分の赤みと連動される事で、画面全体の色調を安定させる狙いもある。

以上。
検討用下図

検討用下図


画面を洗う

ほぼ黒一色で仕上げる為、
絵肌が単調にならないように
下地を複雑にしていきます。



下地効果を狙って瞳を描く。
しかし、洗った後は、赤以外残らず。

画面を洗う


ここから黒で仕上げていきます。




手描きで下描き後、仕上げていきます。

髪と目、マスクで黒の種類を変えています。
ラメを使用しており、角度を変えると
ハイライト部分は光るように仕上げています。



髪のハッチングとドット。




搬入です。

記念に一枚。


既に作品がたくさん集まっているようでした。
展覧会は、年末です。

 


以上です。良い一日を!